気象予報士が教える結露の仕組み
~山で発生する霧や雲と、窓ガラスに発生する結露についてのお話~
山で発生する霧や雲の場合
山の天気は変わりやすいとよく言われますよね。
晴れていたと思ったら、急に雲ってきて雨が降ったり。
登山の経験が無くても、このような話は聞いたことあるかと思います。
地表は晴れていても、山に登ると曇っていたり、霧の中だったり、そういうことはよくあるようです。
暖かくても水分の含んでいないカッラッカラな空気の塊でしたら、大丈夫なのですが、何らかの理由で地表に暖かくて湿った空気の塊が作られたとします。
例えば、風が暖かい海面の上を吹き抜けることによっても、どんどん暖かくて湿った空気が作られていきます。
暖かく湿った空気が作られる
この暖かくて湿った空気というのがポイントになります。
結露の発生も、この暖かくて湿った空気が犯人になるからです。
地表にできた暖かくて湿った空気の塊が風に吹かれて、
山のすそ野に沿って、ぐんぐん上がっていったとします。
山のすそ野に沿ってぐんぐんと上がる
すると、この暖かくて湿った空気の塊は少しずつ冷やされていきます。
標高が高いところは、夏でも比較的涼しいですよね。
上空にあがるほど、この湿った空気の塊の温度は下がります。
だいたい100m上昇すると、0.6度ぐらい下がると言われています。
上空に上がれば上がるほど、湿った空気の塊が冷やされる
この暖かくて湿った空気の塊が山のすそのを上がれば上がるほど、
温度はぐんぐんと下がっていきます。
空気の温度は下がっても、湿った空気の中にある水蒸気の量は、
増えもしなければ減りもしません。
その時の気温やどれだけ空気が湿っていたかにもよるのですが、
ある一定の時期がくれば耐えきれなくなります。
今まで見えなかった水蒸気の塊が、
最初は霧になって目に見える形で表れてくるのです。
山のすそ野に沿って、もっともっと高く掛け上がれば、それが雲や雨となります。
ただの『湿った空気の塊』がついに目に見える『雲』となる
場合によっては煙突からモクモクでる煙のような雲、対流性の雲、入道雲となってから、
どしゃ降りの雨として私たちの前に表れることもあります。
冬の窓ガラスに付く結露の場合は?
みなさんが頭を悩ましているご自宅の結露の場合はどうでしょうか。
冬にガラスに付く結露の仕組みも、山にでる雲の話と同じなのです。
部屋の中に暖かくて湿った空気が何らかの理由でできていきます。
冬場の部屋の中は、ストーブやエアコンでどんどん温められますし、
生活している人の呼吸からも結構な量の水分が外に出されます。
こういった環境から、比較的簡単に、暖かくて湿った空気が作られていくのです。
部屋の中で暖かくて湿った空気が作られる
暖かくて湿った空気は、このままでは目に見えない空気のまま。
何も悪さはしません。
例えば夏場でしたら、ビールで冷たく冷やされたコップの表面などに、この暖かくて湿った空気が必然的に触れます。その結果、このコップの表面に水滴として姿を現すことになるのです。
夏は、冷たいビールジョッキにだけ水滴が発生
夏であれば窓ガラスは冷たくないので、水滴として姿を現しません。
つまり夏には窓ガラスに結露が付かないという訳です。
冬は、冷たい窓ガラスにも水滴が発生
しかし、冬になると、部屋の中を温かくしても、外はずっと寒いわけです。
その外気の冷たさがガラスにどんどん直撃して、窓ガラスの室内側まで冷やされることなります。
ガラスの表面が冷やされると、結露が付いてしまう
さきほどのビールの入った冷たいコップにつく水滴と同じように、
今度は窓ガラスにも水滴が付くという仕組みなのです。
水蒸気を追い出すためにも、換気は必須
子供の頃からこんな風に教わってきませんでしたか?
「風邪をひかないためにも、換気が大切」だと。
結露対策を考えたときにも、何度口を酸っぱくして伝えてもいいほど換気はとても大切なものです。
冬場、換気をすることにより室内の温度は下がります。
結露を防ぐという観点からみると、温度を下げるということよりも、
室内にこもっている水蒸気を追い出すこと
これが、換気の一番の目的になります。
そして、この換気がいかに大切かということは、何度でもお伝えしたいポイントになります。
次のページでは、実際にあったお客さまとのやりとりを元に、
換気の大切さをご説明していきます。
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